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MDGs blog

【MDG8】**スタッフブログ** 真面目と娯楽の両立

外で遊びなさい、という両親の方針(だったのか?)により、小さいころ私の家にはゲームがありませんでした。周りの子たちがマリオカートやドラゴンクエストの話題で盛り上がっているのをうらやましいなーと思ってみていたのを覚えています。

しかしテレビゲームやゲームボーイが広まり始めたころから、ゲームが子どもの教育に与える影響が問題になるようになりました。友達と外で遊ぶことが減ったことによるコミュニケーション能力や体力の低下、ゲーム脳といわれる脳への悪影響も心配されています。

近年ではさらにコンピューターゲームや携帯でできるゲームの広がりも目覚ましく、電車内でゲームにいそしむ人もよく見かけるようになりました。

そうした幅広い広がりを見せるゲームを、教育上よくないと切り捨ててしまうのではなく、もっと有効活用できないか、という動きもあります。そこで開発されたのが、シリアスゲームと呼ばれるものです。

 

ゲームで社会問題を解決?

シリアスゲームは、教育・医療・福祉など社会的課題を解決していく過程をゲームのエンターテイメント性と組み合わせることで、教育・学習効果を引き上げることを目的にしています。2002年頃からその可能性が指摘され、各国で開発が行われてきました。

震災以降大きな広がりを見せた節電ゲームは、ご存知の方も多いかもしれません。自宅の電気メーターの数字を記録していくことで使用量を自動的に計算し、どれだけ消費電力を減らす努力をしているかを「戦闘力(ポイント)」に変換。そのポイントを他ユーザーと競いあうというもので、大変な節電を楽しみながら節電ができるゲームとして注目を集めました。

そんなシリアスゲームには、貧困問題やマラリアの問題に触れられるようなものも開発されています。

 

ゲームで人道援助を体験!

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例えば「FOOD FORCE」。国連の世界食料計画が開発した、食糧援助を目的としたゲームを楽しみながら、人道支援について学ぶことができる子どもむけのゲームです。なかなか理解しにくい人道支援の活動を、ゲームを通して感覚的に理解できる仕組みになっています。昨年にはFacebookアプリもリリースされ、ゲームの中で得た収益が実際に食糧支援活動に寄付される、という機能も付加されました。

 

ゲームでマラリア感染を発見!

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マラリア感染を発見する「BioGames」、という画期的なシリアスゲームも開発されています。

従来トレーニングを受けた専門家が顕微鏡で細胞を見て行っていたマラリア感染の検知を、マラリアに関する専門的な知識を持たない複数の人々が、マラリアに感染している兆候があればチェックをする、というゲームに仕立てたもの。まだまだ実験段階ではあるようですが誰でも参加が可能で、専門家不足の問題解決などに期待がもたれているようです。

 

楽しみながら学ぶ

日本ではまだまだメジャーとは言えないようですが、勉強臭くなく、ゲームを楽しみながら自然に知識を身に着けたり考える力をつけることができるという点では、かなり期待の持てる取り組みではないかと思います。

実はオランダが、国としてシリアスゲームの育成・普及に積極的に取り組んでいる先進国なのだとか。日本でも上手に活用することで、より多くの人々に関心を持っていただけるといいなと思います。

 


 

文責:立花香澄