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MDGs blog

【MDGs】世界はつながっている。マラウイの暴動から考えること。

mudefがその達成に向けてサポートを行っているミレニアム開発目標(MDGs)。そのMDGsに関わる様々なお話を、専門家の方々からわかりやすく解説いただいてきたMDGsブログですが、 今回はmudef事務局長である長島による執筆です。

2011年7月20日に起きた、mudefとも関わりの深いマラウイでの暴動を受けて、感じた思いを綴っています。


 

世界はつながっている。マラウイの暴動から考えること。

22日、mudefが実施している「Love is Free Campaign」実施国であるアフリカ南部の小国マラウイから、反政府デモのニュースが届きました。「アフリカ南部のマラウイで、燃料不足などに不満を持った市民らによる反政府デモが今週発生し、警察と市民が衝突。これまでに18人が死亡したことが明らかになった」(ロイター通信、7月22日)。

「あのおだやかな人たちが!」Love is Free Campaignに協力しているチャポンバ夫妻やワシムたちの顔を思い出し、驚きというよりは、想像ができない私。

それほどマラウイと暴動という言葉が結びつかなかったのです。

私が初めてマラウイを訪れたのは、2009年11月。約2週間近い滞在期間中に印象的だったことに、ガソリン代の高騰がありました。1リットル当たりのガソリン代は約2ドル。日本円で200円近くの値段となっていました。

当時の日本大使館の大使からも、ガソリン不足が深刻で、公用車のガソリンを確保することすら難しい、との話が。実際、ガソリンがないために店を閉じていたガソリンスタンドが何店舗も目にしました。

 

ガソリン不足が引き起こすこと。

マラウイは世界最貧国の一つ。私が訪問した当時、月平均収入が200マラウイクワチャ(約160円)、人口の半数以上が一日0.5ドル程度で暮らしていました。

「収入がなくても幸せならよいんじゃないの?」という話を聞きます。

でも、ちょっと考えてみましょう。

一日平均約160円しか稼げない家族。食料を買わないといけなくても、最近はマラウイでは食料不足とクワチャの通貨切り下げも手伝い、価格が高騰しています。この間まで買えたキャッサバ(芋)も買えなくなってしまいます。

ガソリン不足も大きな影響を与えます。ガソリン不足により価格が高騰すると、食料価格も当然跳ね上がります。その結果、影響を受けるのは貧困にあえぐ世帯です。

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仮に自給自足で暮らしたとしても、病気になったら?

総合病院は都市部にはありますが、地方にはありません。そして農村で暮らす人たちは、ガソリン価格が高騰することで、都市部へ行く「足」を失ってしまうのです。

実はこの病院問題、私も途上国で経験済み。

アフリカではないのですが、だいぶ前に、アジアのモンゴルという国で、落馬で右腕を折ったことがありました。ところが近くに病院はなく、ようやくあった診察所にはレントゲンがない。「手を上げられるところまで上げて」という無茶な要求を受けて「痛い」とわーわー言いながら腕を上げたら「骨折じゃない」とのアバウトな診断。そして最後は通訳の方とお医者さん、私の間で「けが名当てクイズ大会」状態となり、「お相撲さんがよくなるけがは?」というヒントから「肉離れ」という怪我名に決定。

結局レントゲンをして、骨折の診断が出たのは、骨折してから3日後、首都に戻ってからでした。骨折なので今なら笑い話ですが、でも命にかかわる病気だとしたら、話は深刻です。

近代化が進む中で、私たちの生活は飛躍的に向上しました。

数年前にはまったくつながらなかった日本の携帯電話も、アフリカの奥地でつながることも可能になりました。アフリカの人たちとの会議も、数年前からSkypeで。時差の問題はありますが、問題なく会議も開催。日本で最近人気のあるFacebookも、彼らが始めた方が早かったり。

アフリカと聞いて私たちがイメージする状況とは異なり、ツールを駆使するのは、彼らのほうが貪欲ではあります。

でも一方で、その便利さの波から取り残された人々や地域はたくさんあります。

 

マラウイの農村もそのひとつ。

便利さからは遠い所にいながら、経済のグローバル化によって、価格高騰のあおりを受けるのも、取り残された彼らです。貧困層は生活手段を奪われることで、より貧しい状況に置かれます。

マラウイでは電化率も低いため、首都リロングウェでも電気がなく、火を使って自炊する家庭は多くみられました。そして自炊に必要な薪も、取りつくされたために、若者たちはガソリン代のかからない、自転車を使って隣国モザンビークへ薪を切りに出かけていました。モザンビークでの伐採は、国境を越えて、伐採による自然破壊が行われていることを意味します。

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伐採されることで生態系に影響もあります。マラウイではないのですが別のアフリカでも、伐採を過度に行ったことで、生態系が変化し、もともとなかった病気が発生したとの話を聞きました。また、過度に伐採された土地は土壌の質が悪化するために、大雨が降ると水を土に保有できず、洪水になる恐れもあります。洪水などが発生すると、その影響を受けるのは、社会的に弱い立場の人々です。

貧しい生活はさらに子どもの教育にも影響を与えます。家族を養うために働かないといけない。その結果、満足に読み書きがでいないので、高収入の仕事に就けない。低収入の仕事に従事するため、より良い生活を望むべくもない。

 

貧困というスパイラル

貧困はまるでスパイラルだと思うことがあります。さまざまな要因が重なり合って、より深い貧困問題を作り出していく。貧困から抜け出したくても砂のようにさらさらこぼれる壁が、上ることを阻んでいる。

7月7日、潘基文国連事務総長が発表した「ミレニアム開発目標報告書2011」では、貧困削減で大幅な前進が見られた一方で、「前進は、経済的に最底辺にいる人々や、性別、年齢、障害、民族などを理由に不利な立場に置かれた人々を素通りする傾向がある」と指摘されました。「しかも都市部と農村部との間には、気の遠くなるような格差が残っています」。

貧しく生まれたい人はどこにもいません。

ガソリン不足がマラウイの農村に深刻な影響を与えるように、ひとつの現象は様々な問題を引き起こします。そしてそのどれもが、MDGsの課題と密接にかかわっています。

 

MDGsブログでは、今後も継続的にMDGsの問題を考えていきたいと思います。 

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※Love is Free Campaignで支援しているエミテワが住む家。赤い服はチャポンバ園長。


 著者紹介:長島美紀

一般財団法人mudef事務局長。政治学博士。大学院在籍中に国連機関やNPOでインターン経験を行ったことをきっかけに、国際協力に関心を持つ。2004年度には外務省NGO専門調査員として(特活)TICAD市民社会フォーラムの事務局開設、運営を行う。2005年度より早稲田大学政治経済学部助手を務める傍ら、同団体の事務局長、理事としてキャンペーン事業を担当。2008年8月よりChild AFRICAプロジェクトに参加、2010年5月より現職。