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【MDG8】**スタッフブログ** 水について考える

暑中お見舞いで、オフィスにミネラルウォーターが届きました。水が贈り物になるなんて、ちょっと前までは全く考えられなかったなぁと、結構衝撃です。

家でも学校でも水道水を飲んで育った私は、いまだにミネラルウォーターをお店で買うことに抵抗があるのですが、世間では国産・輸入含め数種類のボトルが店頭に並んでいるのが当たり前になりました。国内で取り扱われているものだけでも、なんと500種類以上あるそうです!

 

ミネラルウォーターの需要

そんなミネラルウォーターの需要は、3.11の震災以降、水道水への不安の広がりと共に高まってきています。国内での生産の限界から輸入の拡大が始まっており、今までミネラルウォーターの取引のなかった国から輸入するケースも見られています。

食事からシャワーから、口に入る可能性のある水道水が安全でない地域が増えていくことはとても恐ろしいことです。同時に今まで日本がどれだけ水に恵まれた国だったのかがよく分かります。

でも、世界では、家に冷たい水の出る水道の蛇口すらなく、1日に何回も、何時間もかけて水源から手桶やつぼに水を汲んでくる生活を送る人も大勢います。

 

世界の水事情

大学生の時に訪れたカンボジアの農村で、水を運ぶのを手伝わせてもらったことがあります。昔話に出てきそうな、棒の両端に大きなバケツを括り付けたお手製のものを借りたのですが、あまりの重さに水をいっぱいに入れた状態ではまっすぐ歩くことができず…500m程の距離にもかかわらず、家にたどり着く前に半分以上こぼれてしまった上に、棒の食い込んだ肩は窪んで真っ赤になりました。それに加えて、ちょっと動くだけで汗だくになるほど暑い!とてもではありませんがもう一度チャレンジ!とは思えないキツいものでした。

この重労働から解放された地域では、子どもたちの就学率が改善されたり女性の社会進出が促進されたりするほど、水の確保は重要な問題となっているのです。

日本では、朝起きて顔を洗うところから、洗濯、料理、お風呂と特に意識せずにたくさんの水を使っていますが、水を遠くから運んでくる必要のあるところでは、1日にたった5リットルの水しか使えない場合もあります。 これは、日本のトイレで1回に流す水の量よりも少ない量なのです。

 

地球の淡水の7割は家畜へ…?

表面の10分の7が水でおおわれていることから、「水の惑星」と呼ばれる地球ですが、淡水は世界の水のわずか2.5%しかありません。さらにこのうち3分の2以上が、氷河や雪、永久凍土として閉じ込められているため、人間にとって利用可能な水はほんのわずかしかないのです。

そんな貴重な水を、日本を含む世界の3分の1の国では贅沢に使えていますが、3分の1の国は水不足による様々な問題により国民の多くが命の危険にさらされています。ミネラルウォーターを先進国が大量消費することは、更なる水の格差を生み出します。

贅沢に水を使用できる国により全淡水のおよそ70%が農作物や家畜に使われている一方で、世界で7人に1人が飢えて命を落としています。日本の食物自給率は40%であり、食料の輸入大国ですが、その日本が輸入する小麦を育てるために使用される水は、数百トンになります。パンにマーガリンとオレンジジュース、といった簡単な朝食であっても、数トンの海外で使われた水を使っていることになるのだとか…。

 

特に水を使用する機会のぐっと増える夏、もっと水を意識して生活する必要があるなぁと考えさせられます。

 

コップの水を安全に飲めるということ

先週8月1日は日本の水の日でした。国連の定めた「世界水の日(World Day for Water)」とは別に日本が独自で定めた、水資源の有限性、水の貴重さ及び水資源開発の重要性について国民の関心を高め、理解を深めるための記念日です。

奇しくもその前後では、新潟・福島で記録的な豪雨となり、雨量が多いところで1,000ミリを超えました。新潟県内では6つの河川の9か所で堤防が決壊するなどの被害を受け、各地で今も復旧作業が続いています。

時を同じくして東アフリカのソマリアでは、干ばつと政情不安による過去60年間で最悪の食料危機に見舞われ、毎日子供1万人当たり6人が餓死している深刻な状況を迎えていました。まとまった雨は11月まで期待できないといい、対策が急がれているところです。

 

環境問題が気候変動となり、世界で水の問題となり、そして飢餓の問題へと繋がっていく…

 

海辺で子どもが水をぱしゃぱしゃするような、広大な海から見れば恐ろしく小さな波紋も、世界中の海に影響を及ぼしているのだ、と最近聞いてとても感動したのですが、きっといいことも悪いことも同じです。

世界はつながっており、私たちの生活のどんな小さなことでも、必ず世界に影響があります。悪いことに比べ、ちょっとした良いことが及ぼす影響はなかなかイメージしにくいものですが、たとえトイレで流す水1回の節水でも、考えて行動することが必ず世界を改善します。

 

まずは今日コップに注いだその1杯の水を安全に飲めることについて、考えることから始められたらいいと思いました。

 


 

文責: 立花香澄