【MDG7】**スタッフブログ** 金魚と生物多様性
2011.08.30
日本橋架橋100周年記念特別展として公開されている、「ナイトアクアリウムミュージアムラウンジ」に遊びに行ってきました!
東京・日本橋三井ホールで開催されているこのイベントは、六本木ヒルズ「スカイアクアリウム」をはじめ斬新で新しい空間演出で知られる、アートアクアリウムプロデューサー木村英智氏が総合プロデューサーを務めています。
江戸時代から日本人に親しまれてきた金魚にスポットを当て、江戸を意識した粋な演出で、「涼しさを目で見て心で感じる風情豊かなアート水族館」として誕生しました。

趣向を凝らされた演出もさることながら、普段はお目にかかれないような様々な金魚たちには驚きの連続でした。
まんまるぱんぱんでとても愛らしい金魚や(「ピンポンパール」というらしいです。名前も愛らしい!)、鶏のようにとさかのようなもののついた不思議な金魚。錦鯉のような豪華な模様の金魚もお目見えしました。
縁日で掬う金魚くらいしかご縁のなかった私は、その種類の豊富さにびっくりしてしまいました。
日本産金魚
実は日本産金魚として「公認」されているのは25品種、中国から輸入された品種などを入れると30種ほど。個人の趣味などで生み出される「非公認」種を入れれば80種を超えるのではと言われています。
金魚の祖先は、東海大学と国立遺伝子学研究所の共同研究により中国の「フナ」だという事がわかっています。その中から突然変異体として生まれた赤いフナを人間が選り分けて繁殖させながら、さらにその中で生まれた突然変異体をまた交配させていくことを繰り返した結果、これだけの多様性が生み出されてきました。
金魚の産地は日本の各地にありますが、特に愛知県弥富市、奈良県大和郡山市、江戸川下流域が有名で、三大養殖地として知られています。さらに全国各地には美しい魚体の保存・鑑賞を目的とした、愛好会・保存会が多数存在し、インターネット等を通じてさまざま品種がやりとりされています。自宅でさまざまな品種を掛け合わせ、珍しい金魚を品評会に持ち込むアマチュア生産者も多く、今後も更なる多様性の拡大が見込まれています。
多様性≒よいもの?
生物多様性を考える上で、多様性は良いものであるという認識が一般的です。しかしこの金魚、多様性によって起こっていると考えられる問題もあります。
それが「キンギョヘルペス」です。
金魚はさまざまな病気にかかりますが、これまでは寄生虫や細菌による病気が一般的で、薬で予防や治療ができました。しかし近年、薬が効かない新たな病気として広まり猛威を奮っています。
ヘルペスとはインフルエンザ同様、ウイルス性の病気。魚では「コイヘルペス」がよく知られていますが、金魚特有の病気がキンギョヘルペスと呼ばれています。このキンギョヘルペス、品種によって症状が違うのですが、祖先である「フナ」に近い種類の方が病気には強く、多様性が増していく下の系統の品種のほうが病気にかかりやすいと見られているのです。
生物の進化とは、環境への適応と考えられています。自然淘汰の法則により、厳しい競争や環境変化に対応した種が生き残り、生態系を形作ってきました。
金魚の多様性は、そうした自然の摂理から見るとどうなのでしょうか…。
多様とはなにか
日本へ持ち込まれて以来、日本の文化において金魚はとても身近なものでした。今回訪れた「ナイトアクアリウムミュージアムラウンジ」でも、扇風機やクーラーがなかった時代に、目で見て涼む夏の風物詩としての金魚をテーマに設計されています。
金魚の餌育・鑑賞は日本伝来500年の歴史を誇っています。金魚を飼育する職人は、1匹の親金魚が産卵する3000-8000匹を孵化させ育て、半年の間、ひたすら金魚を見つめて、たくさんの稚魚の中から優良な金魚を選びます。模様の入り方から色形、泳ぎ方までを見極め、成長段階ごとに選別。最終的に選び抜かれた数匹の金魚が品評会に出展されたり、1匹何千円、何万円の価値を持つに至ります。
まさに「生きた芸術作品」であり、その飼育は職人技なのです。
何がいいのか悪いのか、判断することはとても難しいです。自然に手を加えたことによる結果はすぐに表れるわけではなく、そもそも外部の影響を受けていないものなどないと思えるほどに全てのものは循環し繋がり合っています。
大切なのは、私たちの行動一つ一つが引き起こす影響を想像し、無関心でいないこと。
生物多様性とは、多様であるということはなんなのか、改めて考えるきっかけとなりました。
とはいえ、本当に素敵な展示です。9月12日まで行われているようですので、ぜひ足を運んでみてください!
文責: 立花香澄





