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【MDG3】**スタッフブログ** 捨てる私たち、飢える子どもたち

 世界の給食

 「給食」と聞くと、日本では多くの人が小学校や中学校での学校給食を思い出すのではないでしょうか。この学校給食、大人になってからいろんな人と話をすると、地方色が出ていてとても面白いですよね。

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世界で学校給食を比べてみると、その違いはより顕著になります。

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アメリカでは揚げ物が多く、スウェーデンは野菜中心、韓国はやっぱりキムチ。

 

私が今までで一番衝撃を受けたのは、インドの小学校で子どもたちと一緒に食べた給食。輪切りの人参とお芋が数切れでした。

それでも、学校へ通えており、しかも給食が出る、ということがどんなに恵まれているかということを、その学校の先生は教えてくれました。

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途上国の学校では、野菜が数切れだったり、お粥のようなもののみだったり、どこから栄養を…?と思うような給食です。それでも、「学校で出る給食」はとても貴重な食事なのです。

参照:Worldly School Lunches

 

子どもたちの飢饉

食料が公平に分配されていないということが現代の人間社会がかかえる大きな問題だ、と言われ様々な取り組みがなされて久しいですが、この格差は広がるばかりです。

東アフリカでは過去60年間で最悪の干ばつ被害が広がり、飢餓に苦しむ避難民の数は1300万人に達しました。すでに数万人が死亡、今後さらに飢餓による死者が続出することが懸念され、特に子どもたちにおいては、50万人もが、栄養失調が原因で死亡する危機にさらされています。そのため今回の飢餓は「子どもたちの飢餓」とも呼ばれています。

 

飢餓とは、食料不足を表すもっとも重い言葉で、

① 子ども30%以上が急性栄養不良

② 人口1万人あたり毎日2人以上が死亡

③ 20%の世帯が極端な食料不足

の3項目を満たす場合のみ使用されます。

 

例えば①の「子どもの栄養不足」を判断するのは、二の腕の周囲が12.5センチ以下の場合を差しますが、それはペットボトルのフタの太さと同じであることを考えると、どれだけ食料が足りていない状態であるかが分かります。

国連世界食糧計画(WFP)のジョゼット・シーラン氏によれば、すでに栄養失調の後期の症状を発症している状態で避難キャンプに到着する子どもも多く、そのような状態に到達してしまってからでは、たとえ十分な食料や医療ケアを与えることができたとしても、生存率は40%に満たないことになってしまうそうです。

 

地球上に食料が足りていないのでしょうか。

 

世界の人口が増えたことで食料が足りなくなるかもしれない。そんな未来も想定されてはいますが、現状地球上には人口70億に達してもなお、全人類を余裕で養えるくらいの食料が存在すると言われています。

穀物だけで考えたとしても、世界で生産される量は年間19億トン。


19億トン(世界の年間穀物生産量) ÷70億人(世界の人口)

⇒ 約270kg (1人当たり)

 ※1人当たり1年間の標準量は180kgと言われています


お肉や野菜など、他の食べ物も合わせれば、必要な食料の約2倍は生産されていることになるのです。

 

たくさんの食料はどこへ?

ではなぜ飢えてしまう人々がいるのでしょうか。

日本の食品の約7割は、世界から輸入したものです。

しかし、食料の大半を輸入に頼りながらその廃棄率では、世界一の消費大国アメリカを上回っています。廃棄量は、先進国や国際機関が援助する食料援助総量740万トンをはるかに上回り、1900万トンに達しています。(17年度農林水産省統計)

これは、途上国の5000万人分の年間食料に匹敵します。

 

私たちは年間5800万トンの食料を輸入しながら、その3分の1を捨てている、世界一の残飯大国なのです。

 

また、世界で生産されているトウモロコシなどの穀物の4分の1は、豊かな国の牛のエサになっているという事実も忘れてはいけません。穀物ですら手に入らずに飢えている人々がたくさんいる一方で、先進国では豊富な量の穀物が家畜に与えられ、お肉の食べ過ぎで生活習慣病に苦しむ人が増えています。

食料自体は豊富に存在するにもかかわらず、貧しい人びとは、それを入手する手段を持っていない…。「飢え」は食の不均衡から起こる現象で、「人災」なのです。

 

ごはんを残すということ

「飢餓に対する支援」はもちろん必要ですが、「飢餓を作り出す私たちの生活」をまずはきちんと考える必要があると思います。食べ残したごはんを捨てる。それが地球の裏側で飢えて子どもたちが死んでいく一因になっていくのだということを、意識して生活していくことが大切です。

 


 

文責: 立花香澄