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MDGs blog

【MDGs】 ミレニアム開発目標(MDGs)を広報するということ

一般財団法人mudefでは、活動の柱にミレニアム開発目標(MDGs)を据えています。貧困、教育、環境など8つのテーマに沿う形で事業を形成、運営しています。

とはいえ、このMDGs、一般的な認知率がどれくらいか、みなさんご存知ですか?

 

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  ※(財)国際協力推進協会 『国際協力/ODAに関する調査報告書抜粋』(2008年3月)7頁

 

上の図は、国際協力推進協会が2008年3月に18歳から69歳の男女9357名に対して行ったインターネット調査結果です。この表は用語の認知率を示しています。一番高い青年海外協力隊の用語で認知率は、9割、それに比べてMDGsの認知率はわずか3%。30人に1名ほどしかMDGsという言葉を聞いたことがない計算にです。

 

これは何を意味しているでしょうか?

mudefの活動について、関心を持っていただいた方に説明したくても、まずはMDGsから説明しなければならない、ということです。

 

MDGsに限らず広報のポイントは、わかりやすさと簡潔さにある、とすると、このMDGsはその点で非常に不利なことがわかります。前提となる言葉そのものを知らない状況は、仮にMDGsについてのキャンペーンを実施したいとしても、そのキャンペーンの内容が「MDGsとは何か」という告知にとどまり、MDGsが内包する課題や問題そのものの解決のためのキャンペーンにはなりにくい、という可能性があります。

 

国際協力に携わる中で実感するのは、日本で国際協力、といった時のイメージが非常に希薄かつ一面的なものであるということです。先ほど紹介した調査の一つに、ODAそのものの国民への浸透率について、「あまり知られていると思わない」「そう思わない」と回答した人は、全体の8割に達しています。国際協力業界全体の課題ではありますが、国際協力という活動は、ODAを事例に取るまでもなく、理解は非常に低いのではないか。

 

このことは、ODA額の増加に対する理解に関連することになります。2010年時点で、日本のODA実績は、DAC(開発援助委員会)中第5位。これは一見すると大きな国際協力に想われます。しかし、GNIに占める割合でみると日本の対GNI比は0.2%。DAC加盟国23か国中この割合は20位になります。これは、国の経済規模を考えた際に、その規模に見合うだけのODAが拠出されていないことを意味します。

現在、国際的な援助の潮流では、GNI比0.7%をODAに充てるという考え方が採用されています。「GNI比 0.7%」の援助目標は、1980年の国連決議に盛り込まれ、現在、スウェーデン(0.97%)、デンマーク(0.9%)、ルクセンブルク(1.09%)が達成しています。

 

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 ※外務省HP:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/souron/2010_dac.html

 

この数値だけ見ると、日本はODAをはじめ、国際援助がまだまだだ、ということが言えるかもしれません。

 

援助関係者の中でしばしばODA増額とGNI比の増加を主張する人によく出くわします。その意見はごもっともなのですが、同時に考える必要は、国内世論での国際協力への理解の低さです。理解が低ければ低いほど、「なぜ増額すべきなのか」理解し、納得してもらうことは非常に困難です。

 

ODAはひとつの事例にすぎません。MDGsも含め、国際協力全体が、広報が非常に弱い。その結果、国内の認知率の低さはもちろん、「なぜ支援しないといけないのか」という理解とサポートを幅広く得ることはできません。

 

mudefは「音楽とアートが社会をデザインする」ことをテーマに掲げた財団。その主眼はMDGsをはじめとする様々なテーマをいかにわかりやすく伝えるか、ということ。伝え方、つまり広報を中心に活動をしています。この活動を継続することで、このMDGsに関する理解をわかりやすく、そして楽しく伝えていきたいと思います。

 

文:長島美紀(mudef事務局長)