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【MDG7】**スタッフブログ** 白神山地紀行

先日、青森県に位置する、白神山地に遊びに行ってきました!

白神山地とは、青森県の南西部から秋田県北西部にかけて広がる、広大なブナの原生林を含む標高1,000m級の山岳地帯をさします。

 

世界遺産、白神山地

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白神山地は、東アジアでも最大級といわれる原始性の高いブナの天然林と、そこで育まれた世界的にも貴重な生物多様性が世界遺産登録へとつながった場所です。落差のある美しい滝がいくつも存在し、豊かな森には特別天然記念物のニホンカモシカや天然記念物のクマゲラ、イヌワシなど動植物が自然の生態系を残して数多く生息しています。

 

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しかし最大、と言っても、青森と秋田の間のこのちょっとの範囲です。これが東アジアで最大のブナ原生林!?と逆にその失われように驚いてしまいました。

ブナは日本において、山の代表的な木であると言っても差し支えないほどあちこちにみられました。しかし、腐りやすく加工後に曲がって狂いやすい性質を木材として生かすことが難しかったことから、20世紀に入る前には大規模な伐採が行われ、代わりに杉などの扱いやすい木へと植え替えられ、大部分は姿を消しました。

そんな中で、険しく人の踏み込みづらかった白神山地が、数少ないブナの原生林となったのです。

 

 

核心地域と緩衝地域

白神山地の世界遺産登録地域は、核心地域(コアゾーン)と緩衝地域(バッファゾーン)に分けられています。

核心地域は、次世代に貴重な自然環境を引き継いでいくため、人手を加えないことを定めたエリアです。既存の歩道を含めて、ルートの整備等も行っていません。入山も制限されており、青森県側の核心地域は、既存の歩道と27の指定ルートを利用した登山等により限定的に入山が可能ですが、秋田県側は入山が禁止されています。

緩衝地域は、核心地域に外部から人為的影響を及ばさないように指定されている地域で、トレッキング等で気軽に世界遺産にふれることが出来ます。入山手続き等が必要なルートもありますが、観光地として有名な「マザーツリー」や「暗門の滝」といった、特に届出の必要ない場所もあります。

 

これらは、白神山地の自然環境を守るために定められたものです。

しかし、もともと白神山地は手付かずの自然ではなく、人が生活のために守り育ててきた森でした。マタギと呼ばれる、東北地方・北海道で古い方法を用いて集団で狩猟を行い生活する人々や、周辺の住民は、山中で必要なだけの木を切り、動物を追い、山菜を採り生活してきました。白神山地は山里の人々と関りあいながら守られてきた森であり、その中で人々は独特の精神文化や伝統文化を育んできたのです。

世界遺産として様々なルールが定められたことにより、こうした脈々と続いてきた地元の生活が続けられなくなった人々もたくさんいました。

 

 

立ち入るべきか、立ち入らざるべきか

一緒に白神山地を訪れた友人は小学校の教師をしており、ちょうど小学校高学年くらいで、白神山地等を例に挙げた自然保護や生物多様性についての勉強をするのだと教えてくれました。

その友人は子どもたちへ、「核心地域」のように、人の入山を禁止する保全の仕方をどう思うか」という問いかけをしたそうです。子どもたちからは、「たくさんの人が入るとどうしてもルールを守らない人が出てくるから、入山禁止にするべきだ」「やはり自然に触れないと自然の大切さがわからないから入れるようにするべきだ」「自然に触れるのであれば、白神山地でなくてもよいと思う」などといった、真剣な議論が交わされたそうです。

 

みなさんは、どう思われますか?

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参考:白神山地ビジターセンター(http://www.shirakami-visitor.jp/)


 

文責:立花香澄