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【MDG7】**スタッフブログ** ニホンカワウソの絶滅

環境省は2012年8月28日、絶滅の恐れのある国内の野生生物を、絶滅の危険度ごとに分類したレッドリストの改訂版をまとめた際に、ニホンカワウソを「絶滅」に指定しました。

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ニホンカワウソ

ニホンカワウソは、ラッコに似た水かきをもった胴長短足(と書くとちょっと残念な気持ちになってしまいますが…)の愛らしい動物です。主に川の近くに生息し、体長は1メートル前後とイメージよりは意外と大きい哺乳類です。

小さいときにアニメにもなったドブネズミのガンバとその仲間たちの冒険をつづった「ガンバ」シリーズを読んだことがあります。その中でもこのカワウソのことが紹介されていたこと、知っていましたか?

1982年に書かれた『ガンバとカワウソの冒険』は、作者である斉藤惇夫が、ニホンカワウソが絶滅寸前であることを知ったのが執筆の動機なのだそうです。カワウソの仲間が生き残っているかもしれない伝説の河「豊かな流れ」をめざしてネズミとカワウソが体験する冒険は、環境破壊への警鐘を鳴らす作品でもありました。

児童文学でも言及された絶滅危惧種、ニホンカワウソは、その毛皮が保温性に富んでいたために、大正から昭和初期の間に乱獲され、激減。その上、ニホンカワウソは水質がきれいな場所でないと生活ができないことから、農薬による水質汚染によって住める環境が日本から瞬く間に消えていったことも、絶滅の要因の1つと言われています。

 

「絶滅種」へ

高知県で1979年に目撃されたのを最後に生息情報が途絶えており、環境省が「ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い種」として定めた「絶滅危惧1A類」に分類されていました。

しかし33年の間目撃情報がなかったことから、環境省は「中型哺乳類が人目に付かないまま、これほど長期間生息し続けているとは考えにくい」と判断し、「絶滅種」への改訂を決定しました。

 

レッドリストが公表された1991年以降、哺乳類が絶滅に追加指定されたのは初めてのことでした。

 

「絶滅させた」という事実

ちなみに今回の改訂で、二枚貝のハマグリが新たに「絶滅危惧2類」(絶滅の危険が増大)に指定されたほか、新リストに掲載された野生生物は改訂前より419種も増えてしまいまいした。そしてリストの動物のうち、ニホンカワウソを含む8種が新たに「絶滅」とされました。

 

私たちが心に留めなければならないのは、絶滅種の多くは「絶滅してしまった」わけではなく、「人間が絶滅させた」という事実です。私たちのせいで、地球上から、その存在がなくなってしまうのは、本当に申し訳なく悲しいことです。失われた種は、どう頑張ってももう戻ることはありません。

 


 

文責:立花香澄