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【MDG2】**スタッフブログ** 教育テレビで国づくり

新聞を読んでいて、アフリカ南部の国ボツワナで教育テレビの設立を計画しているという記事を目にしました(朝日新聞2012年11月7日)。今回はボツワナの教育について注目したいと思います。

皆さんは、子どものころ教育番組を当たり前に見ていたのではないでしょうか。「ひとりでできるもん」や「セサミストリート」、「ポンキッキー」などなど…学校に通う前から教育番組で学んできたことはたくさんあります。教育番組は、私達日本人にとって誰もが通ってきた通過点と言えると思います。

 

人材育成として・・・

ボツワナでは、NHKを手本に教育専用チャンネルを設置する計画を立てました。教育番組の対象は高校生レベルで、数学など理科系が中心です。

ボツワナは世界一のダイヤモンド産業を誇り、ダイヤモンドの利益は教育、医療、インフラ整備などに使用されてきました。その結果、政治の安定、治安のよさ、汚職の少なさから、グッドガバナンスとしてアフリカ各国の良いお手本となっています。しかし、ダイヤモンドは採れば採るほどなくなっていく資源です。ダイヤモンドに依存せず、資源頼みの経済から脱却することを考えなくてはいけません。そこで教育番組で、若者の人材育成を狙おうという動きが出てきたのです。多くの事を学び、知識の向上はもちろん人としての成長も期待することができます。

そもそもボツワナは経済開発としてNDP10(National Development Plan 10)を2010年から実施しています。NDP10は知識社会の構築、鉱業依存の脱却・産業の多角化促進など長期的経済開発を目標とした開発戦略です。国家予算の3分の1を教育面に投資し、力を入れていることからも、教育番組の放送はNDP10の目標達成に大きく貢献すると期待されていることがわかります。

教育番組の放送は生徒の教育だけではなく、教え方など教師にとっても学ぶことがあります。生徒の知識向上と共に、教師の質の一定と向上を狙うことができます。

 

課題

ただ、いくら教育番組が充実したとしても、インフラの整っていない地域では番組の放送はできません。ボツワナの農村部では電気を使えない人達が80%程いるそうです。同じ教育を全ての子どもたちに届けることが重要です。またボツワナに限らず、今後の経済を知識や人材で発展させることを考えていかなければなりません。

世界には女の子には教育はいらないという考えや、学校よりも家の仕事の方が大事という考えなどによって、学校に通いたくても通えない子どもたちがたくさんいます。まずは当たり前に教育を受けられる環境と、その理解が必要なのだと思います。学校に通うことが難しくても、教育番組で勉強することができる、そんな形も一つの施策になるかもしれません。

 

世界で教育専門チャンネルを持つ国は、日本を含めわずかだそうです。私達にとってテレビは身近な存在で、小さいころから教育テレビやビデオを見て育ったことは、当たり前のようで当たり前ではないと気付かされました。教育を受けることが、その国の未来にとってどれほど価値があることで、大切なのかを改めて考えました。


文責:大妻女子大学 宮本奈央美