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【MDG3】**スタッフブログ** 「レイプ」の重み

本日3月8日は国際女性デーです。国際女性デーは、1904年3月8日にアメリカ・ニューヨークで女性労働者が婦人参政権を要求しデモを起こしたことがきっかけとなり、「女性の十全かつ平等な社会参加の環境を整備する」記念の日として設定されました。

今回は大妻女子大学の学生さんが、シリアの内戦で起こっている事例をもとにブログを書いてくれました。日本ではなかなか話題にもしづらく難しい問題ではありますが、ぜひご一読いただき、こういった問題があるのだということを少しでも知っていただくきっかけになればと思います。


 

難民女性を襲う暴力

現在、シリアをはじめとするいくつかの国では内戦が起こっています。その内戦で、何の罪もない女性や子どもたちが「レイプ」という犯罪に巻き込まれていることをご存知でしょうか。日本だったら大きくニュースになるような事例も、そこでは当たり前のように横行しているのです。

AFPの報道によれば、レイプを理由に避難生活を余儀なくされる家族がいるのだそうです。

『米国を拠点とする難民支援団体「国際救援委員会(International Rescue Committee)」が14日に発表した報告書によると、レイプが「シリアの内戦において重大かつ憂慮すべき特徴」になっているとの指摘がありました。レバノンとヨルダンで同団体が実施した3回の評価の結果、難民たちが家族でシリアを脱出した第一の理由がレイプだったのです。』

※参考:AFPBB News http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2920624/10074015

 

ときには家族も敵に…

レイプをはじめとする性犯罪はもちろん重大な犯罪であり、被害者は身体だけでなく心にも深い傷を負います。私はレイプのような性犯罪は、「悪いのはレイプした加害者」と考えるのが当たり前なのだとこれまで思ってきました。

 しかし、このニュースは、私のこれまでの考えをひっくり返すものでした。

シリアのようなイスラム教徒の教えでは、「女性は夫に忠誠を尽くすべき」とされ、結婚時に処女であることが最低条件とされる社会背景があります。レイプ被害にあったことが烙印としてみなされ、被害者の女性や少女、その家族にとって不名誉だと考える風習があるのです。

レイプを受けてしまった人は、時には家族までもが敵になることがあります。レイプを「恥」だと思う家族に殺されることを恐れている人がたくさんいるのです。このレイプを受けた女性が親や兄弟によって殺されてしまう「名誉殺人」による被害者は、世界では年間5000人にも上るといわれているのです。殺害されないとしても、被害者が幼い少女の場合、「名誉を守るため」に低年齢での結婚を強要されることさえもあります。

そのような国で暮らす女性たちにとって「レイプ」されるということは、私たちとはまた違う重みを持っているといえるでしょう。

  

こうした事実は同じ女性として本当に悲しい出来事です。各国や地域の慣習などが深く関わる女性への暴力は、私たちが今すぐ辞めさせていくは難しいことかもしれません。ただ、女性や子どもがこのようなかたちで迫害を受けるのは、やはり男尊女卑の社会が存在するからだと思います。今日3月8日は国際女性デー、私たちは、少しでも女性の地位を向上するために考え、動いていくべきだと思います。


文責:大妻女子大学3年 矢部遥佳