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【MDG3】**スタッフブログ** スポーツを楽しむ権利

先日、学校の「イスラム文化」という授業で、アラブ首長国連邦の男性が「イケメンすぎる」という理由で、サウジアラビアを国外追放された、というニュースを知りました。(気になるかたは検索してみてください、本当にイケメンです。)

女性たちがそのイケメンに心をかき乱されることを懸念しての出来事だったそうです。

 

サウジアラビアの女性

こんなニュースがあるくらい、サウジアラビアは保守的なスンニ派ムスリムの社会で、女性が親族以外の男性と関わるのを禁じていたり、女性のスポーツの参加にも制限があります。女性は団体スポーツや、ジムやプールなどのスポーツ施設への立ち入りも禁止されています。

そんな保守的なイメージのあるサウジアラビアですが、昨年のロンドンオリンピックでは初めて女性選手の出場を認めるなど、少しずつ前進の兆しを見せています。しかし、このとき話題になった女性柔道選手は、お父さんが柔道を教え、親子でオリンピックを目指していたとても稀な例なので、やはり国内からの批判はとても多くあったようです。

私は今までサウジアラビアの女性がオリンピックに出られなかったことも知らず、出場しても、ヒジャブという布を頭から被ってプレイしている姿にとても驚きました。

今回はそんなサウジアラビアが、また一歩前進したとも思えるニュースを紹介します。

 

スポーツを楽しむ権利

そのニュースは、サウジアラビアの教育省が私立校で女子が体育を履修することを認めると発表した、というものです。政府が女子生徒の体育を正式に認めたのは初めてのことだそうです。

もちろん認めるにあたっていくつかの規定が設けられています。その規定では、女子が体育を履修するに当たっては服装は「控えめ」でなければならないと定め、適切な用具や設備の備えを義務付けたほか、指導者は女性教員を優先するとしています。

サウジアラビアを除けば、全てのイスラム教国・アラブ諸国において、女性は政府や国が認可したスポーツ委員会の支援を得てスポーツをする機会が認められています。しかし、サウジアラビアの場合、オリンピック委員会や全国に29ある国家スポーツ連盟のいずれも、女性部門を設けておらず、スポーツを志向する女性アスリートに対していかなる競技会も開催されていません。

また国が認可するスポーツジムは男性専用に限定されているため、女性が利用できる施設は通常病院に併設された健康センターに限定されているのが現状です。さらに、国内にある153の政府認可のスポーツクラブのうち、女性のチームは皆無です。

スポーツの他にも、サウジアラビアでは女性の車の運転を認めていなかったり、国が定める「男性保護者制度」により、サウジアラビア女性は年齢に関わらず、特定のヘルスケアの受診、就職・進学・結婚等、全ての行動について男性保護者の許可を得なければなりません。

 

女性の社会進出への一歩

このように、まだまだ女性に対する制限が多いサウジアラビアではありますが、今回のニュースは女性の社会進出に大きな一歩を踏み出したといえるでしょう。まだ公立の学校では体育が導入されてらず、今回の発表は社会の反発を招かないかどうかの反応を探る目的があるとの見方もありますが、これがきっかけとなり、少しでも女性が自由にスポーツを楽しめる幅が広がれば良いなと思います。そして私はこれからも、限られた場所での練習や批判を乗り越え、オリンピックという大きな舞台に立つことができたサウジアラビアの女性選手たちを応援していきたいと思います。