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【MDG4】**スタッフブログ** 母乳育児で乳児の死亡率低下

8月1日~7日は「世界母乳育児週間」でした。これは、1990年にWHOとユニセフが母乳育児の保護、促進、支援の必要性を「イノチェンティ宣言」として発表したことを記念し、定められたものです。

 

母乳育児のメリット

世界中で5歳未満児の1年間の死亡者数は約800万人で、その9割以上が開発途上国の子どもたちと言われています。

母乳には高い栄養が含まれており、乳児は自身の免疫機能がきちんと使えるようになるまでの間、母乳から免疫を得ることができます。完全母乳で育った子どもは、そうでない子どもに比べて、生後6ヶ月を生き延びる確率は14倍も高くなるそうです。また、生後すぐに母乳を与えられた子どもの、新生児期の死亡リスクが最大で45%減るそうです。

日本は世界でも赤ちゃんの死亡率の低い国です。昔と比べて高品質の粉ミルクが増えており、必ずしも生後6か月間母乳だけで育てなくても健康な赤ちゃんが育つには問題はありません。日本でも、栄養面はもちろん、母乳を与えるという行為で親子の絆など精神面へのメリットから母乳育児の必要性が問われていますが、途上国での推進目的とは異なります。

 

途上国での母乳育児

途上国は、衛生的な水が確保されないために、安心で安全なミルクを与えることができません。また、お金のかかる粉ミルクよりも、母乳は経済的だということも母乳育児を進める理由の一つです。乳児の死亡率が高い国において、免疫を高められる母乳で命を守るというのはとても重要なことです。

完全母乳率が低い国はソマリア、チャド、南アフリカであり、これまでこれらの国での母乳育児支援は軽視されてきました。母乳育児が妨げられる原因としては、コーヒーなど、母乳やミルク以外の物を新生児に与えるという伝統的習慣の存在や、母乳育児の正しい知識を持つ人材不足、産後の母親に対するサポート不足、一部の企業による母乳代用品の不適切な販売などが挙げられます。

 

WHOとユニセフは、全ての国の産科施設に対し 『母乳育児成功のための10カ条』 を呼び掛け、これを実践している産科施設を 「赤ちゃんにやさしい病院( Baby Friendly Hospital ) 」 として認定しています。

母乳で乳児の死亡のリスクが減るのならば、正しい知識と充実したサポート体制が、できるだけ早く整ってほしいと思います。そして世界中の乳児死亡率が低くなることを望みます。

 


文責:大妻女子大学4年 宮本奈央美