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【MDG8】**スタッフブログ** 日本のゲイシャは西アフリカの国民食!?

西アフリカで60年以上も親しまれている「GEISHA」(ゲイシャ)をご存じですか?もちろん、私たちの知っている芸者のことではありません。実は、今や西アフリカのガーナとないじぇらいで国民食となっているサバのトマト漬け缶詰のことなのです。

 

GEISHAって?

GEISHAは、「ノザキのコンビーフ」の販売で知られる日本企業の川商フーズが製造・販売を行っています。GEISHAは1911年にアメリカで同名の缶詰ブランドとして販売されたところから始まりました。第二次世界大戦後は、日本政府による缶詰産業振興策の一環として、安価なサバを使った缶詰にも同名がつけられ、世界各地で販売されるようになりました。

現在では中国で生産され、アジア各国以外にヨーロッパや中近東、アフリカでも販売されています。

この商品がなぜ西アフリカに根付いたのか、詳しい経緯はわかっていないようですが、缶詰は良質で手軽なタンパク源として現地では広く重宝されています。

このGEISHAは、日本円にして約70円。以前はもう少し安価で誰にでも購入できるものでしたが、近年人件費や原料の高騰で値上がりを余儀なくされました。この金額はアフリカの国民所得を考えると決して安い商品ではありません。また、安価な類似商品や偽物が出回ることで、販売量にも影響を与えています。

とはいえ、継続して販売されてきたことや、アフリカの市場規模の拡大という現状を考えると、このGEISHA缶が成長する可能性は高いといえます。

3億人以上とも言われる消費者のニーズに応えるため、現在、ガーナに生産工場を設立する試みが進められています。

 

BOPビジネスへの試み

拡大する市場と市場拡大に伴い激化する競争。それを見据えて、川商フーズはGEISHA缶を現地で生産する、BOPビジネスに乗り出しました。

BOPとは「Base of the Pyramid」の略で、世界の所得別人口の中で最も低い所得者の層約40億人を指します。BOPビジネスはこの層をターゲットとしたビジネスです。従来は経済活動の対象として考えられてこなかったBOPですが、低所得者を対象にした商品開発や販売、事業展開を通じて低所得者層のニーズに応えるだけではなく、ビジネスの展開を通じて、保健や衛生、貧困、食料など社会的問題の解決を図ることが期待されています。

ガーナに製造工場を設立するにあたって、インフラ整備や魚の鮮度を保つシステムの開発など、課題はまだまだたくさんあります。しかし缶詰の生産に必要な資源と市場の面においては、西アフリカは漁獲量が多いこと、以前からGEISHAが国民に親しまれていたという強みがあります。ガーナで製造され、価格も安価になれば出荷量が増加し低所得者にも行きわたる日が再び訪れるかもしれません。BOPビジネスは、企業の利益も追及しつつ低所得者層の生活水準の向上に貢献することが期待されます。

日本企業はアフリカへの進出に遅れをとっていると以前のブログ記事でもご紹介しましたが、徐々に参入している企業が増加してきていると感じます。現在、日本企業のBOPビジネス商品として農業用ポンプや微生物を使った消臭剤などもあるようです。日本の強みである、科学技術や食品産業などの分野で活躍して欲しいです。

私も、サバのトマト漬け缶を是非食べてみたいと思いました。