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【MDG2】**スタッフブログ** ソマリア 100万人の子どもを学校へ

2013年9月 、国連児童基金(UNICEF)、世界食糧計画(WFP)、国連教育科学文化機構(UNESCO)は、ソマリアで100万人の子どもを学校へ通わせることを目的にした「Go 2 School(学校へ行こう)」というキャンペーンを開始しました。このキャンペーンは、ソマリアの首都のモガディシオや、北部染まりランドの中心都市ハルゲイザ、同じく北部で氏族の一部が自治を宣言しているプントランドガローウェといった都市などで一斉に開始されました。

 

ソマリアの教育事情

20年におよぶ内戦が続いたソマリアの就学率は世界で最低レベルであり、学校に通える子どもは10人中4人。ユニセフの推定では小学校登録率はわずか42%。学校に通っていない6歳から18歳の子どもや青少年の数は、920万人中440万人にも上ります。初等教育を受け始める年齢の6歳になっても学校に通えず、大きくなってから通い始めたためにクラスになじめずに辞めてしまったり、授業についていけずに途中で辞めてしまうことも数多くいるそうです。

 

100万人の子どもを学校へ

ソマリア政府の要請を受けて始まった同キャンペーンは、3年間かけて行われる予定で、現在教育を受けていない若者の4分の1にあたる100万人を対象に、教育の機会を提供することを目指しており、6歳から13歳までの子どもに基礎教育を受けさせるほか、学校の改修や新設、高学年向けの職業訓練、教師の雇用とレベル向上、遊牧民向けの特別なプログラムなどを行う予定です。3年間の総費用は推計1億1700万ドル(約116億円)になります。

また、予算には含まれていない項目ですが、武装組織や犯罪組織に引きずり込まれやすい14歳から18歳の子どもに技術研修を受けさせる予定だそうです。ソマリアでは、子ども達が少年兵として戦場で働かせられる事が多いことや、内戦による不安定な生活環境が、低い就学率に大きく影響していると言えます。ソマリアの教育相は、教育を受ければ、子どもが武装組織に加入することを防げるとしています。

 

 

ソマリアでは子どもの死亡率が高いこと*から、以前は予防接種などのような保健や医療に関する支援が優先されてきました。しかし2015年のMDGs達成期限に向け国連が宣言した全ての子どもへの教育を提供する取り組みを加速させるための世界キャンペーン、「教育を最優先に(Education First)」をはじめとして、国づくりの為には、教育が重要であると、過去の開発会議などで訴えられてきました。このキャンペーンで学校に通える子どもが増え、教育の質が高くなり、最低レベルの就学率から脱却することを期待したいと思います。

*WHO世界保健統計2012年度版によれば、ソマリアの新生児死亡率は1000人当たり50人で最大。乳児死亡率は1000人当たり108人で第3位、死産率は1000人当たり30人で6位。日本は1000人中1人の新生児、2人の乳児が命を落とす。

 


文責:大妻女子大学4年 宮本奈央美