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【MDG1】**スタッフブログ** ニジェールの貧困問題

2013年10月30日、西アフリカのニジェールでサハラ砂漠を越えようとした難民92名の遺体が見つかりました。

 

難民とは

難民とは、人種や宗教、政治的意見などを理由にした迫害から逃れるために、他国へ避難した人々のことです。しかし最近では、紛争や貧困が原因で住むところを負われ、難民となる人々も多く存在します。

見つかった遺体92名のうち、女性33名、子ども52名と、遺体の大半が女性と子どもでした。サハラ砂漠を越えようとした難民は計113名で、分乗していた2台のトラックがサハラ砂漠を超えアルジェリアに向かっている途中に故障し、飲み水の不足により命を落としてしまいました。

目的地であったアルジェリアやリビアは、西アフリカから欧州諸国へ向かう多くの庇護希望者の経由地となっているそうです。

今回は冒頭で紹介したニュースをきっかけに、深刻な貧困問題を抱えている西アフリカのニジェールについて調べてみました。

 

ニジェールが抱える問題

アルジェリアに向かっていた難民の出身地であるニジェールは、最貧国の一つで、非常に多くの問題を抱えています。

国民の60%が一日1ドル以下で生活しており、保健・医療の質も低く、国民の半分以上が安全な水を確保することができません。また妊産婦・乳幼児の死亡率も高く、成人識字率や初等教育の就学率は世界でも最低水準です。

同国の経済基盤は、ウラン生産と農牧業です。しかしウラン生産は気候の変動に左右されやすいため、経済基盤としては脆弱です。また、国民の大半が農業に従事しているにも関わらず、農作業ができる土地は国土の10%にすぎず、十分に食料を確保することが難しい状況にあります。世界でも有数の厳しい気候でもあるニジェールでは、砂漠化も深刻です。雨がまったく降らない日が続いたり、逆に何日も大雨が続く時もあったりと、自然環境の変化が土壌の劣化や作物の生産の低下を招き、農牧業に大きな影響を与えています。

こうした厳しい状況にも関わらず、ニジェールの年平均人口増加率は世界平均の1.3%を大幅に上回る3%であり、今後20年で人口が倍増ほどの数値となっています。食料不足が続く中で、このまま人口が増え続けてしまえば、更に食料不足を深刻化させてしまうことが懸念されています。

さらに、隣国マリの紛争によって流入してくるマリ難民を多数受け入れていまることも、食料不足を更に進行させる原因の一つとなっているようです。

 

希望を求めて

厳しい生活環境を打破するために他国へ移入する人達は多く、リビア経由で欧州に渡った西アフリカの難民は、国連によると今年3月から8月までで毎月5000人を超えており、そのうち多くがニジェール出身だったようです。今回のように、2001年にも仕事を求めてリビアに向かっていた140人が水不足によって命を落とした事件もありました。

毎月こんなにも多くの人達が難民となることに驚きましたし、生きるために自国を離れた結果、命を落としてしまうとは本当に悔しいことであり、それと同時にこれが現実なのだと感じました。そしてニジェールが抱える多くの問題はとても深刻なのだと気付きました。

 


文責:大妻女子大学4年 宮本奈央美