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【MDG4】**スタッフブログ** 不思議な石鹸が感染症予防に

日に日に寒さが厳しくなり、いよいよ冬本番を迎えました。空気が乾燥するこの季節は風邪をひいてしまう人も多いのではないでしょうか。

風邪予防として、うがい手洗いをいつも以上に徹底することはとても重要ですね。うがいや手洗いは、誰もが小さい頃から家庭や学校で指導されてきたこともあり、私たち日本人にとっては習慣になっています。

今回はその“手洗い”に焦点を当て、南アフリカのケープタウンにある貧民地域における感染症を大幅に減少させた“Hope Soap”という取り組みを紹介したいと思います。

 

Hope Soapとは

“Hope Soap”は世界保健機関(WHO)が考案したプロジェクトで、南アフリカのケープタウンにある貧しい地域で実施されました。

この地域の衛生環境は非常に悪い上に、予防接種や十分な治療を受けることができず、下痢、肺炎、コレラなどの感染症で毎年数千人の人が命を落としています。特に子どもは免疫力が弱く死亡率が高くなっています。これらの感染症は頻繁に石鹸で手を洗うことで、感染予防の効果があると言われています。

そこでWHOは、手洗いの習慣を促進するため、“Hope Soap”という特別な石鹸を子ども達に配布するプロジェクトを実施しました。

“Hope Soap”はただの石鹸ではありません。

石鹸の中に子どもたちが喜ぶような、ミニカーやフィギュアなどのおもちゃが埋め込まれています。こうすることによって、子ども達はおもちゃを早く取り出したいという気持ちから、頻繁に手を洗うようになるという仕組みです。このプロジェクトが功を奏し、実施地域では感染症の発症が70%も減少したと報告されています。

私たち日本人にとって手洗いは習慣化されていますが、このような習慣がない国では親も教師も石鹸で手洗いをすることの大切さを知らないため、子ども達が家庭や学校で手洗いについて学ぶ機会もありません。大人達から教わらなくても、子どもが自発的に手洗いをしてくれるような工夫が重要です。また、子ども達にとって手洗いが習慣になれば、大人達も自然と学ぶことができるのではないでしょうか。このような国で手洗いが習慣化されれば、感染症による死亡率も減らすことができます。

“Hope Soap”は、配布されたのちに使用されず終わるということもなく、シンプルでかつ効果の高いプロジェクトとなったようです。変化を起こす素敵なアイディアを私たちも考えていきたいですね。

YouTubeで“Hope Soap”が紹介されていますので、ぜひチェックしてみてください!
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=efc8jlnQfPQ

 
 

文責:大妻女子大学4年 宮本奈央美