【MDGs2】**スタッフブログ**片道22キロ、4時間の通学 映画「世界の果ての通学路」
2014.04.30
国連ミレニアム開発目標(MDGs)の目標の一つに、「初等教育の完全普及の達成」というものがあります。
2013年の国連ミレニアム開発目標報告によると、初等教育就学年齢に達しているにもかかわらず学校へ通うことのできない子どもたちが2000年には世界で約1億200万人いたそうです。その数は年々減少し、2011年には5700万人と、2000年比でほぼ半数となりました。
しかし、問題はまだ解決していません。初等教育の就学には地域間格差があります。農村部の子どもは都市部の子どもに比べて、学校へ通えない可能性が実に2倍にも及びます。これは農村部と都市部との貧富の差や、農村から都市の学校へ通学するための地理的なアクセスの困難さが原因であると考えられています。
世界には都市から離れた農村や山奥から何時間もかけて長距離を通学する子どもがいます。現在、このような子どもたちの姿を取り上げたドキュメンタリー映画「世界の果ての通学路」が全国で公開されています。
映画「世界の果ての通学路」
「世界の果ての通学路」は、道なき道を通学する子どもたちの姿を追った、フランス発のドキュメンタリー映画です。
映画は、ケニア、モロッコ、パタゴニア、インドの4人の子どもたちの通学風景を中心に構成されています。4人の通学はどれも長距離・長時間に及びます。
さらに彼らの通学には、それぞれ“困難”が伴います。
・通学中に野生動物に襲われる危険がある
・女の子たちだけで通学途中にヒッチハイクをしなければならない
・足の悪い兄弟を車イスに乗せて通学
しかし、彼らはそんな過酷な通学にも、不満を口にしたりはしません。彼らには、それぞれ学校で学ぶことで叶えたい夢があるのです。彼らはそのために奨学金を貰い、何時間もかけて学校に通います。
この映画が教えてくれること
日本という恵まれた環境にあり、私たちは学校に行くことを当たり前のことと考えてしまいがちです。しかし実際のところ、それは当たり前のことではなく、非常に幸運なことなのです。
この映画は、世界の果てで過酷な通学をする子どもたちの姿を伝えてくれると同時に、私たちが当然のように学校に通うことができている現実の有り難さを教えてくれると思います。
「世界の果ての通学路」は現在全国のミニシアター系映画館で公開中です。まだご覧になっていない方は是非どうぞ。
「世界の果ての通学路」(原題: Sur le chemin de l'ecole)
フランス 2012年
監督 パスカル・プリッソン
配給 キノフィルムズ
参考ページ
国連ミレニアム開発目標報告
http://www.unic.or.jp/files/MDG_Report_2013_JP.pdf
文責 : 同志社大学法学部法律学科4年 磯部亮太