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【MDGs6】**スタッフブログ**西アフリカで「エボラ出血熱」感染拡大

 

 2014年2月から西アフリカでエボラ出血熱の感染が史上最悪規模の拡大を続けています。今年の3月以降、西アフリカのギニア、シエラレオネ、リベリア3か国で感染が拡大し、WHO(世界保健機関)の最新の調査では感染またはその疑いで729人が死亡するなど、過去最悪の規模の被害となっていることが報道されています。

 

 

感染国の一つ、シエラレオネは30日、緊急事態宣言を行い、感染の中心となっている地域を隔離して人の動きを制限すると発表しました。

 

先日はナイジェリアの首都ラゴスで7月25日、エボラによる死亡者が出るなど、さらなる拡大が予想されています。WHOは7月3日にはこの流行は少なくとも数ヶ月続くだろうとの見方を示したほか、8月1日には1億ドルを対策費に充てることを発表しました。同日には、アメリカの疾病対策センターは警戒レベルを最も高いレベルに引き上げ、3か国への不要な渡航を控えるよう勧告するなど、国際機関、世界各国で警戒と対策が講じられています。

 

 

 

エボラ出血熱って?

 

エボラ出血熱と聞くと、映画でもお馴染みの、口や鼻など体中の穴から出血し、失血死する。こんなイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。

 

エボラ出血熱はエボラウイルスに感染することによってかかる病気で、病気を発症した患者の血液、唾液や排泄物に直接触れたときに、皮膚からウイルスが体に入り、感染します。そのため、感染した人、感染した人の体液に接触した人しか感染しません。エボラ出血熱に感染していた死者の体液からも感染します。また病気に感染した動物に触れたり、食べたりすることによっても感染します。

 

通常1週間程度の潜伏期間の後、発熱、頭痛、筋肉痛、のどの痛みをおこします。それに続いて嘔吐、下痢や内臓機能の低下がみられ、さらに進行すると身体のいろいろな部分から出血し、死に至ることが多い病気です。

 

空気感染ではない為、感染者が出ても、医療機関などですぐに措置を受ければ、伝染性の強くないエボラ出血熱は感染を広めることはできます。

 

 

致死率90%!?

 

WHOによると、エボラ出血熱の致死率は90%と言われています。

 

現在、予防のためのワクチンはなく、、発症した場合も有効で直接的な治療法は確率されず、症状を軽くするための集中治療が行われます。潜伏期間(感染から発症するまでの期間)は2日から21日にわたるるために、感染者が知らずに、他の人へ感染させている可能性があります。なかには患者の葬儀に参列した全員が感染したという報告もあるほどです。

 

先日ナイジェリアで報告された事例では、亡くなった40代の男性はリベリア財務省のコンサルタントで、飛行機でリベリアからナイジェリアに到着後、発症、病院で亡くなりました。ナイジェリア到着後彼が接触した人は59人。この59人が感染した可能性があるほか、機内に乗り合わせていた同乗者にも感染した恐れがあります。またラゴス経由で他国へ向かった乗客がいれば、感染はさらに拡大する恐れもあります。

 

この事は、感染症は決して対岸の火事ではないという事を意味しています。日本に上陸する可能性は、だれも否定できない、という事です。

 

 

最初の感染源

 

最初のエボラ出血熱ウィルスが発見されたのは1976年6月。スーダン(現:南スーダン)で男性が死亡したことから始まりました。エボラ、という名前は、この最初の患者の出身地付近に流れるエボラ川の名前から付けられています。その後、アフリカの中部と西部の熱帯雨林に近い僻村で突発的に発生・流行し、これまでに約1700人の人が命を落としています。最初の感染源は野生動物の肉と言われています。エボラ出血ウィルスに感染したチンパンジーやゴリラ、サルなどをハンターが扱うと、皮膚の割れ目や粘膜などから感染してしまうのです。またゴリラや猿を食べた人たちがウイルスに感染したとの説がある一方で、コウモリによる感染も有力視されています。

 

 

なぜ、西アフリカで流行したのか?

 

今回のエボラの発生と流行は、これまでと比べて死亡者数が桁違いに多いことが特徴です。感染拡大した原因のひとつは、都市部での流行にあります。過去の発生と流行では、感染した地域のほとんどが農村地域という僻地でした。

 

エボラのような絶大な感染力を持つウィルスの出現は致死率が非常に高いのが特徴ですが、反面細菌と異なりウィルスは必ず宿主に取り付き生存するため、宿主である人間の命を奪ってしまうエボラは、その発生地域の人間を抹殺するために、ウィルス自身も行き場を失い死滅することになります。生命体として考えたとき、エボラは非常に種の保存の意識が非常に弱いと言えるのです。過去の流行が散発的だったのはそうした理由からだと考えられています。

そのため、エボラ出血熱が発生すると専門家チームが現地に入り、患者を特定し隔離します。隔離によって、感染拡大を防ぐことができたのです。

 

しかし、都市部となると、人口も多く、農村地域のように小規模な感染ではありません。都市部で感染拡大を阻止するためには、今までのやり方では通用しないことが予測されています。

 

 

 

 今現在も、感染は拡大し非常に高い致死率と苦しい症状に苦しむ人、怯える人、また移動などの制約を受けざるを得ない人がたくさん居ます。今回のエボラ出血熱の蔓延は、あまりに急速なため支援団体や医療関係者らも手に負えていません。少しでも早く、そして多くの命が救われるように、日本も、先進国の一員として、国連機関や他国と強調しながら、支援体制を整えて行ければと思います。

 


文責:大妻女子大学 栗原 亜実