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【MDGs3】**スタッフブログ**月経と女性

         

 日本では昔から、初経を迎えると、大人の段階に成長したと認められ、祝福の慣わしとしてお赤飯を炊く習慣がありました。最近では、ケーキでお祝いする人もいるそうですが、月経があるのは、平均すると30~40年間。毎回5日月経があるとすると、生涯で6年半以上も月経と付き合っていかなくてはならない計算になります

 

そして、私たちは月経を迎えるたびに、ナプキンやタンポンなどの生理用品を使用します。ドラッグストアに必ずと言ってよいほどある、月経に関連するコーナーでは、海外の商品に比べても使いやすさを追求した商品をたくさん目にすることができます。最近では、周期を管理するアプリがあるなど、日本には月経をサポートする商品やサービスで溢れています。

 

月経の話ってなんだか大声で話にくいような、つい小声になってしまうようなお話。

でも、世界ではどうなんだろう?

ふと疑問に思いました。

「月経」を通して世界を見てみると、そこにはいくつかの問題がありました。今日は、その一部を紹介していきます。

 

感染症と学校

 

 女性にとって、月経は大きな障害となることもあります。管理や衛生状態が悪いと深刻な健康被害や悪習に繋がる場合もあります。

 

例えば、東アフリカのケニアでは、生理用ナプキンの1パック平均価格は約100円です。けれど、ケニアの未熟練労働者の平均日当が約150円です。毎月、使い捨ての生理用ナプキンを購入することは大きな負担になります。また、都市部以外の地域に住んでいる女性にとって、使い捨ての生理用ナプキンを購入することは、物理的にも困難です。

 

生理用品が手に入らないと、別の方法で対処しなくてはなりません。例えば、葉っぱ、新聞、布きれ、コットン、マットレス材、ひどい場合には、泥を使うケースもあるそうです。

もちろん、これらのものが生理用品としての役目をきちんと果たすことはありません。それどころか、女性の体に深刻な感染症を招く恐れもあります。

 

また、ケニアでは女子学生は毎月平均4.9日間学校を休んでいることも指摘されています。これは全学生生活の20%を休んでいることを意味します。

原因は月経です。

男女別のトイレがなかったり、設備が不十分な学校では、女子生徒は、トイレのために一日に何度か学校を抜け出さなくてはなりません。漏れてしまうこと、クラスメートから笑われてしまうことへの心配などがあります。

月経を迎える思春期の少女にとって、月経は恥ずかしいもの。まだ慣れていなくて、失敗するんじゃないか、など心配は絶えません。これらのことが原因で学校を休んでしまう女子生徒も居ます。

時には、ナプキンを購入するために売春をする少女もいるようです。そして、こうした問題は、月経以外の様々な問題を引き起こすことになるのです。

 

月経に関する問題を解決するために、最近ではいくつかの取り組みがなされています。

 

布ナプキン

 

 布ナプキンは紙ナプキンやタンポンと異なり、使い捨てではありません。布から出来ているナプキンなので洗って繰り返し使うことが可能です。

ケニアのシアヤでは、日本からやってきた青年海外協力隊の隊員が、女性の自立支援として布ナプキンづくりを指導しています。布ナプキンをつくることは、感染症など身体的な負担の軽減とともに、月経時に休学してしまったり、ひどいときには退学してしまう問題に対して有効と考えられており、現金収入を目的に行われる売春の防止にも繋がります。また、これがビジネスモデルとして確立すれば、持続的な解決方法となることが期待されています。

 

月経カップ

 

 あまり日本ではなじみがない「月経カップ」。これは医療用シリコンで作られた生理用品です。経血を吸収する、布ナプキン、紙ナプキン、タンポンと異なり、月経カップは膣に挿入し経血の受け皿になります。

体に有害な漂白剤や化学薬品が使われていないため、女性の体への負担も少ないと言われています。きちんと挿入すれば、カップは膣から1.3センチほどの場所に真空状態で設置され、漏れを防ぎます。1回カップを装着すれば、12時間は漏れの心配はなく、快適に過ごすことができます。

もう一つ嬉しいことは、1つのカップで10年ほど繰り返し使用できること。

女性の経済的負担も減り、漏れる心配もありません。長時間使用できるので、ケニアの女子学生たちのように、学校に休まず通うことも可能になります。

 

しかし、問題も残されています。布ナプキンも月経カップも安全な水がない限り、感染症を防ぐことはできないのです。不衛生な水で洗って、使用してしまえば、いくら製品が優れているとしても意味がないのです。

また、月経カップは初期費用にお金がかかります。日本で購入しようとすると、4千円前後します。

 

きれいな水の整備は、女性だけでなく、その土地の人々の生活を潤します。女性の問題や、こうした女性の問題は、見過ごされがちです。けれど、女性なら誰もが向き合っていかなくてはならないことであることには変わりません。少しでも多くの女性たちが、月経を前向きに捉えることができるようになると良いですね。

 


文責:大妻女子大学 栗原 亜実