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MISIA「生物多様性条約事務局SATOYAMA NEWSLETTER」へ向けたメッセージ(対訳)

(2010年9月に生物多様性条約事務局が発行した「SATOYAMA NEWSLETTER」に寄せられたメッセージの対訳。オリジナルは英語)

 

愛知県名古屋市では、生物多様性条約に加盟している193の国と地域が集まり、生物多様性に関する会議が開催されます。この会議では、遺伝資源の使用から生じる利益へのアクセスと公正な配分を促進するための新たな国際的法規範を含む、次の10年に向けた生物多様性戦略計画が議論される予定です。

今年3月にCOP10名誉大使と就任して以来、日本国内を中心に生物多様性に関連する様々な場所を訪れました。そこで知ったことは、あらゆる命が、あらゆる生き物は、単体で生きていけないこと、互いに依存し、時には反発し、競争しながら、すべての生き物が生きているということでした。

近代以降、私たちは、命の恵みを与えられ、活かされているということを忘れ、無秩序に生き物を殺戮してきました。その結果、乱獲により絶滅した動物や、住処を奪われて、生きることが困難になった危惧種が数多く存在します。生き物の命のつながりが十分に機能しなくなることで、人間の生活にも深刻な影響があるにも関わらず、です。

生物多様性は、現在世界で起きているあらゆる問題と密接にかかわっています。例えばアフリカは、世界でも有数の豊かな生物多様性がある地域ですが、生物多様性の損失が深刻な地域のひとつです。アフリカ諸国を訪問する中で、開発によって土壌が流出し、収穫が激減したり、洪水が発生しやすくなった結果、より貧困に陥る現実、その貧困ゆえに子どもの教育が不十分になったり母子保健の欠如、治安の悪化につながっていく現状も目の当たりにしました。
 
2008年から、私はアフリカの子どもの教育支援をサポートしています。しかし私たちは国境や性別、専門や経験を超えた、世界規模でのあらゆる階層の知識と意識が必要です。2010年は国際生物多様性年ですが、この年を機会に、一人でも多くの方に理解してもらい、ともにアクションを起こしていけばと願っています。
 
日本では昔から食事をするとき、「いただきます」という言葉があります。あらゆるものに神が宿ると考えてきた日本人にとって、食べ物は自然という神々からの命の恵みであり、その恵みを「いただく」ということでもありました。命の恵みを頂いて生きていること、またその命がさまざまにつながりあっていること、自然を敬う事を、今私たちは改めて理解する必要があります。

愛知県名古屋市で10月に行われる生物多様性サミットで、地球上の命を守るための世界規模で、普遍的な連携を構築できることを強く望みます。そして世界中のアーティストたちが集まり、自然との共生の文化や、自然とつながり合う素晴らしさを伝えていければと思います。私の「Life in Harmony」という曲は、COP10オフィシャルソングとして認定していただきました。この曲では生物多様性は命であり、私たちの生活そのものであること、そして私たちや未来の子どもたちのために必要なのだ、ということを伝えています。


COP10名誉大使
MISIA

 

*SATOYAMA NEWSLETTERはCBD事務局が発行する「CBD Gincana Newsletters」特別号として発行された。

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