mudef - Music Design Foundation -

messages

国際生物多様性の日に向けたMISIAのメッセージ

昨年10月、国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が無事、閉幕しました。名古屋議定書や愛知ターゲットなど、重要な取り決めが結ばれた以外にも、日本国内で生物多様性と言う言葉の認知率が上がるなど、非常に大きな進歩があった1年だったと思います。

2011年からは国連が定める生物多様性の10年が始まります。これから10年間かけて、世界中の国や機関、そして専門家などあらゆる立場の人々が、生物多様性についてこれ以上の損失を食い止めるために、様々な試みを行うことになります。

そしてそれは専門家ではない、大多数の人々にとっても同様です。生物多様性は、私たちの生活と切り離せません。私たちがお店で手に取るもの、家の中にあるすべてのものが生物多様性に関わっています。その損失は、私たち自身の生活が失われることを意味します。一人ひとりが、生物多様性とは何か知り、保全のために何をすべきか、考え、行動を起こす必要があります。

3月11日、日本を国内観測史上最大の地震と津波が襲いました。この東日本大震災で、多くの方が犠牲となり、町は破壊され、生物多様性の恩恵を受け自然と共に生きてきた場である漁業や林業、農業も大きな打撃を受けました。 

災害からの復興は何年もかかることが予想されています。その長い復興のプロセスの中で、COP10名誉大使として、生物多様性への配慮を、私はメッセージに込めたいと考えています。生きものの恵みに感謝し、自然と共に生きる生活は何か、震災の脅威を乗り越えて、私たちが目指すべき「自然とあるべき姿」は何か、考える必要があります。

日本を含めたアジアの地域には、昔から自然と共に生きる、自然観があります。それは自然と共に生き、自然の移り変わりに合わせてライフスタイルを変えていく、古代からの営みの姿です。そしてそこから里山も生まれました。私たちにとって自然は対立するものではなく、共に生きるものなのです。共に生きるということ。時に脅威を受けながら、生きていくこと。震災は、多くのものを奪いました。それでも、私たちはこの自然と寄り添い、新たな生活を再建しようとしています。その力強さに、私は自然と人間のあり方を思わずにはいられません。

多くのものを奪われた悲しみの中から、それでも明日へ向かって生まれていくものがあります。営まれる命のつながりに感謝しながら、これからの10年を、生きていくこと、命を紡ぐこと、繋がっていくこと、その重要性を伝えていきたいです。

 

COP10名誉大使MISIA

 

*オリジナルメッセージは国連生物多様性の10年の特設サイトで見ることができます(オリジナルは英語)。