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【MDG3】**スタッフブログ** 世界の半分が飢えるのはなぜ?

飢えは自然淘汰?

「飢えは自然淘汰だ」という考え方がある、ということを知った時の衝撃は、今でも忘れられません。 

初めて知ったのは、「世界の半分が飢えるのはなぜ?」という本。大学生の時でした。

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『世界の半分が飢えるのはなぜ?-ジグレール教授がわが子に語る飢餓の真実- 』 ジャン・ジグレール著

 

途上国の現状や貧困について学び始めており、世界にはたくさんの問題があり、たくさんの理不尽があるということはある程度知識として持っていたにも関わらず、あまりの衝撃に頭の中がぐるぐるしました。

 

自然淘汰とは

「自然淘汰」は、もともとは生物の進化を説明する概念のひとつ。生物は生きていける数以上に子をつくるため、子同士の間で生存競争が生じ、より環境に適応できる変異をもつ個体だけが生存して子孫を残す。これを繰り返すことが進化につながると唱えたのが、かの有名なダーウィンです。

その「自然淘汰」を飢えに当てはめたのが、英国国教会の牧師トーマス・サルコスの『人口の原理』(1962年)です。「世界人口の倍増と比べて、食料増産は見込めない。そのため、経済的に厳しい家庭では子どもの数を制限する必要が出てくる。とすると、病気や飢餓は地球人口を淘汰していくもの“と言える」という衝撃的な内容は、当時のヨーロッパの支配者層や研究者層に広く浸透しました。

 

現代の人間社会の欠陥

しかし、11月16日のスタッフブログでもご紹介したように、地球上には今の人口が2倍になってもまだ全員を十分に養える程度の食料があります。

栄養失調で亡くなった子どもを胸に抱いたお母さんを前に、毎日大量の残飯を捨てながら生活している私たちが、「飢えが爆発する世界人口を抑えるのに一役かっている」「大変な問題だが、必要悪である」と言うのでしょうか…。

問題は食の不均衡であり、それを生み出してしまった人間、主に先進国が作り上げてきた仕組みです。これは現代の人間社会の最大の欠陥と言えるのでは、と著者は言及します。

なぜ死ぬのか。なぜ生まれるのか。進化するとは何か。生命の大きな枠組みについて私が理解できていることはとても少なくて、確かなことは何も言えません。もしかしたら、地球上に生きられる生物の数を調整する見えない機能があるのかもしれません。それでもやはり、救えるはずの命を救わず、窮地に陥っている人を見て見ぬふりをする、非道な考え方に思えるのです。

 

世界にはなぜ飢える人びとがいるの?

この本は、飢餓問題研究の第一人者であるジグレール教授が、具体例を挙げながらわかりやすく紹介しています。「飢え」とは何か、入門書としてぜひ手に取ってみてくださいね。

 


 

文責: 立花香澄