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【MDG2】**スタッフブログ** 薬、ときどき毒

9月8日(土)は国際識字デーでした。識字デーは、イランのテヘランで開催された世界文相会議で、パーレビ国王が軍事費の一部を識字教育にまわすように提案したのを記念し、ユネスコが制定した記念日です。

 

識字率とは

識字率とは、15歳以上の人口に対する、日常生活の簡単な内容についての読み書きができる人口の割合です。以前のブログで、江戸時代の日本は寺子屋等の影響で識字率がとても高かった、という話に言及しましたが、識字率は社会の発展度を示す一つの指標としても使われています。

現代日本の識字率は99.8%と言われていますが、世界全体でみると成人の5人に1人の人々は読み書きができず、その3分の2 は女性です。

 

薬、ときどき毒

突然ですが、問題です。

 

あなたの子どもが高熱を出して苦しんでいます。いつも薬を処方してくれる先生は、バスで数十時間かかる町に出かけており数日留守、ほかに病院はありません。

いつも先生が薬を取り出している棚には、ビンが3つあります。しかし、何と書いてあるか分かりません。棚の中には、薬と一緒にネズミ除け用の農薬が入ったビンもしまってあります。さあ、どのビンを選びますか…?

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正解は、B。「熱冷まし」と書かれています。Aは「毒(ネズミ用)」、Cは「栄養ドリンク」です。この言語を勉強していなければ、読めなかったと思います。

 

 

読み書きができるということ

世界一とも言われる識字率を誇る日本では、字が読めない、とはどういうことなのか、わかりにくいかもしれません。

しかし識字率の低い国においては、「母親が読み書きできると、5歳未満の乳幼児死亡率が低い」という統計が出ているほど、生死に関わる問題をも引き起こす重要な課題です。さらに識字率の高い国は、一人あたりの収入や農業生産性も上がると言われ、文字が読めることで貧困の原因となりうる課題に効果があることも知られています。

国際識字デーは、こうして生まれる格差の問題をなくすための努力を呼びかけるもので、ユネスコの重要な活動のひとつです。

7億9300万もの人が、今なお、文字を読んだり書くことができず、6000万人以上が小学校に通えないままでいます。

 

文字を読めること、「薬」と「毒」の違いがわかること。

自分の気持ちを文字で表現し、伝えられること。

貧困から抜け出す手段を持っていること。

 

文字を読めること、書けることは、あらゆる可能性を意味します。

この国際識字デーをきっかけに、ぜひ、改めて世界の状況に目を向けてみませんか?

 


 

文責:立花香澄