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MDGs blog

【MDG2】**スタッフブログ** リベリア大学、全員不合格

アフリカ西部のリベリアの国内最大の国立大学であるリベリア大学で、2013年、新年度の入学試験を受けた2万5000人全員が不合格になるという珍しい事態が起きました。

 

全員不合格!?

全員が合格基準に達しなかったため、合格基準点を下げ受験者の1600人を合格とせざるを得なかった、とのこと。この事態に、以前のMDGsブログでも紹介した「鉄の女」と呼ばれる女性大統領、エレン・サーリーフ氏が、貧困に苦しむ同国の低い教育水準を「国家の緊急事態」と呼ぶ声明を発表しました。

受験した学生たちは英語の基本的な把握ができておらず、大学広報担当者はイギリスBBCの取材に答えて「英語においてはまったく何も知らないといっていいレベル」とまで言っています。リベリアでは公用語は英語とされていますが、日常では28に及ぶ各部族の言葉が使用されており、英語を日常的に話したり書いたりする人は、公的機関関係者など、ほんの一部の人々に限られています。

 

リベリアの教育

もともと、アメリカより解放された奴隷の移住地として19世紀に発展したリベリアではその社会制度の多くをアメリカ合唱国のそれを採用、教育システムも同様でした。しかし1989年以降断続的に発生した内戦によって、国の社会システムは崩壊的打撃を受けました。教育システムも同様です。

現在、6歳から16歳までが義務教育とされていて無料で教育が受けられますが、就学率は低く、2000年の推計で小学校の純就学率は75.2%、また15歳以上の国民の識字率は、2008年の推計によれば58.1%です。

紛争によって学校に通うことが困難であった若者たち。こ内戦によって受けた打撃は大きく、経済の破綻や余剰な武器の流入を招き、治安も悪化しました。いまだにインフラが整っていない地域もあり、それが就学率を低くしている原因のひとつでもあります。

 

今回このできごとを受け、大統領が声明を発表したことは、これからのリベリアの教育システムのさらなる改善に繋がるかもしれません。まだ、具体的な施策は発表されていませんが、この事件をきっかけに改善が進むことを期待しています。

 


文責:大妻女子大学4年 矢部遥佳