【MDG8】**スタッフブログ** 水について考える(4)-面倒くさい、が生んだ発明-
2012.06.25
このMDGsブログでは、過去3回にわたって水の問題について取り上げてきました。今回はちょっと変わった視点から生まれた発明のご紹介です。
水いらずのお風呂
お風呂に入るのが面倒くさい…そんな考えから生まれたのが「ドライバス」。この水いらずのお風呂が、注目を集めています。
発明したのは、南アフリカ・ケープタウン大学の学生、ルドウィク・マリシェーンさん。「肌に塗るだけで済む風呂を誰か作ってくれないかな」という友人の言葉をヒントに開発されたこのドライバスは、ジェル状で無臭、肌に塗れば水とせっけんの役割を果たしてくれる優れものです。
ドライバスは、学生の起業を奨励するグローバル・スチューデント・アントプレナー・アワードで2011年の最優秀賞に輝きました。
※the Global Student Entrepreneur Awards HPより
今では特許も取得し、長距離フライトを行う航空会社や、紛争地域での兵士の衛生確保の手段として重宝され、商業用生産が始まっています。
ドライバスの可能性
ドライバスは、衛生問題の改善に大きな可能性を持っています。
MDGsのターゲット7-Cは「2015年までに、安全な飲料水と基礎的な衛生設備を継続的に利用できない人々の割合を半減させる」ことを掲げています。
しかし、世界でトイレがない人は25億人。毎年約180万人の子どもが下痢のために死亡しています。毎日約4,500人の子ども達がコレラや腸チフス、下痢等の汚水に関連した病気で死亡しており、トイレや下水処理などの衛生分野における世界規模の取り組みが求められています。
また、およそ9億もの人が安全な水へのアクセスが難しく、水汲み労働に膨大な時間を取られているという現状を見過ごすことはできません。増え続ける人口と気候変動による干ばつの多発と砂漠化により、途上国のまずしい人たちの生活は悪化することが懸念されており、現状ではMDGsの目標達成は困難と言われています。
水を使うことなく衛生が保たれるドライバスは、衛生状況の改善だけではなく新しい水源の確保という難しい課題を必要とせずに改善できることから、貴重な水資源の保存にもつながると期待されています。
逆転の発想
ドライバスの取り組みの画期的なところは「何とかして水を確保する」のではなく、「水を使わなくて済むようにする」というところ。
足りないものを補おうとする努力も必要ですが、なくてもすむ方法を考えるという逆転の発想もまた必要なのだな、と感じました。
文責: 立花香澄